〈月駆けの累光〉
- 知名度
- 8/12
- 形状
- 複数の布地をつなぎ合わせた長く大きな帯状のリボン
- カテゴリ
- 冒険道具類
装飾品:背中
- 製作時期
- 現在
- 概要
- 攻撃を避けやすくなり、狙うものを惑わせる。【エルエレナ惑乱操布術】秘伝を使用可能にする
- 効果
-
このアイテムは[用法:1H]で片手に保持している時か、[装飾品:背中]に装備した時に効果を発揮する。
このアイテムを保持または装備している者は、自身の回避力判定に+1のボーナス修正を得る。
さらに、保持または装備しているものに対して命中力判定を行い、失敗したキャラクターに次の効果を与える。
対象は、自身が受動側となる行為判定において達成値の比べ合いを行う場合、-2のペナルティ修正。
この効果は精神効果属性(弱)として扱い、10秒(1ラウンド)持続する。
このアイテムを保持または装備している者は【エルエレナ惑乱操布術】の秘伝を使用可能になる。
由来・逸話
【エルエレナ惑乱操布術】の〈エルエレナケープ〉と【エステル式ポール舞闘術】の〈ミラージュドレープ〉を組み合わせることを目的として、ルーナ=テアードにより作られた品。
元になった双方の品の特性を引き継いでいるため、手と背中のどちら側の用法でも扱うことができる。
また、冒険者パーティ《陽光月隠》のメンバーが身に着けていた飾り布も組み込まれている。
現在はダリアへと託されている。
共に在れずとも、別の形で一緒に―――。そんなルーナの想いが込められている品。
絆を束ねて
戦場で美しくたなびく布は、味方の士気に大いに貢献し、敵の注目も大いに集めた。
彼女が戦っている場所こそが戦場の中心であり、彼女の舞台だった。
仕留めようにも視線は遮られ、その不思議な色彩に惑わされる。
そうして晒した隙に、致命の一撃が叩き込まれるのだ。
《陽光月隠》は順調に名を上げていた。
とある日、彼女は仲間たちからある相談を受ける。
曰く、『お前ばっかり目立ってずるい』『きれいだからわたしも欲しい』『それつけてるとツキが回ってきそう』。
とはいえ、これを十全に扱うのはそんなに簡単な話ではない…。悩んだ末、彼女は『作った時の端切れ』で飾り布を作ることにした。仲間たちはその品に喜び、戦士は肩あたりに巻き付け、神官は髪を束ねるのに使い、斥候は手首に結びつけた。
その飾り布は《陽光月隠》の証となった。
そうして、各地で冒険を続け。立ち寄ったギルドで、〈奈落の大侵蝕〉のことを聞いた。
故郷の危機ならば、と帰参を決めた時。防衛作戦の担当区域が通達された時。もっと考えるべきだった。もっと警戒すべきだった。
―――もはや、遅すぎる後悔でしか無い。
始まりは魔神の奇襲だった。
浮足立ったところで、まず後衛の神官が刈り取られた。
状況を改善しようと、無理に立ち回った斥候が捕まった。
戦線を維持するため、耐え続けた戦士が押しつぶされた。
気がつけば、戦線などとっくに突破されていて。
周りにあるのは、酷く損壊した数多の亡骸だけ。
―――この日、彼女は仲間と名声を失った。
その後の記憶は曖昧で、途切れ途切れにしか覚えていない。
かろうじてはっきりしているのは、仲間の亡骸を見つけた時だ。
どれほど身体がボロボロになっていても、見間違えようがなかった。
肩に巻きつけられていた、髪を束ねていた、手首に結びつけられたそれ。
自分たちの、絆の証。それを持ち帰ったときのことだけは、覚えていた。
そして彼女は縫い上げる。かつての輝きを思い返しながら。
もはや共に在ることは叶わずとも―――せめて、あの絆を束ねるように。